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母乳育児相談室

やさしい自然の贈り物 それはお母さんのおっぱいです。

妊娠中は約9割のママが母乳育児を望んでいます。でも、実際に母乳のみで育てられている赤ちゃんは約3割なのです! 産後の育児不安で一番多いのは母乳育児に関することです。母乳育児を望んでもなかなか思うようにいかず、困り果てて中には精神的に追いつめられ育児に支障がでるほど深刻さを増すママもいます。当院の母乳相談室ではそうしたあなたの困ったに対応しています。

赤ちゃんってかわいい!って思えるような楽しい子育てのお手伝い

ところでどうして母乳育児を希望しているのですか?
母乳には免疫力があり病気になりにくいからと多くのママが反応します。確かにその通りですね。母乳の子は丈夫ですよ!病気になっても自らの回復力で重症化を防ぎます。母乳中の免疫グロブリンやマクロファージ、リゾチーム等の働きで赤ちゃんを病気から守っているのです。
その他に自然育児だからとかアレルギーになりにくいとか・・・。
私が出産を扱っていた時、興味深いエピソードがあります。お産後、毎晩夜な夜なご主人さんが何やら実験用具を持ち込み奥さんの母乳を採取していきました。母乳成分の特性から朝まで実験を続けるとか。ご主人さんは某製薬会社の研究員で、母乳成分がある疾患に有効ではないか研究をしていました。当時企業秘密と明かされたものの、何の薬剤かはわかりませんでした。数年後薬剤が開発されました。子どもの脳の疾患に有効な薬剤とのことでした。こうして母乳はまだまだ知られざる未知の成分が豊富な自然の贈り物なのです。
皆さん母乳バンクってご存じですか?日本では年間5,000人の早産・極低体重児の赤ちゃんが母乳を必要としています。ドナーミルク(寄付された母乳)には早産・極低体重児の腸を早く成熟する物質が含まれ壊死性腸炎を予防できます。こうして医学的にも赤ちゃんの命を守る重要な役割を担っているのです。
でもほかにも素晴らしいメリットがあるのをご存じでしょうか?
それはママとお子さんとの絆(コミュニケーション)づくりです。おっぱいを飲ませるとママの脳からオキシトシンというホルモンが出てきますが、このホルモンは母乳分泌を促すだけでなく、母性化ホルモンともいわれ、ママの精神安定作用もあるといわれています。子育てでついイライラしがちなストレス状態になっても穏やかな気持ちにさせてくれるといわれています。最近研究が進み、数々の報告から改めて母乳の利点が見直されています。母乳を飲ませていると赤ちゃんとママの目線距離はお互いを見つめ合う距離です。授乳によりEye to eye Contactで無言の会話を繰り返しています。母乳を飲み終え赤ちゃんの満足そうな笑み!「ごちそうさん」そんな声が聞こえてきそうなスチュエーション。母乳は赤ちゃんってかわいい!って思えるような楽しい子育ての応援に一役買っているのです。母乳のメリットについては他のサイトでも詳しく紹介されていますのでそちらを参考になさってください。

こんな時はご相談ください
  • 母乳の出が悪い もっと出るようにしたい
  • 母乳が足りているのか心配 飲んでもすぐに泣く 便秘やおっしっこの回数が少ない
  • 出産施設で退院後の健診で体重が増えていないのでミルクを与えるように言われた
  • 授乳時に乳頭が痛い
  • 赤ちゃんが上手に吸い付けない 乳頭キャップを使って飲ませている
  • おっぱいのトラブルで困っている
    • 乳頭に傷ができて授乳が辛い
    • 乳管が詰まって しこりができやすい
    • 乳頭の先に白いもの(白斑)ができて授乳時痛い
    • おっぱいにシコリができて痛い
    • おっぱいが赤くなっていて熱っぽい
  • 卒乳・断乳をしたい
  • 職場復帰したいが母乳をどうすればよいか
  • 赤ちゃんが入院しているので母乳を届けているが搾乳の仕方がわからない
  • その他の母乳育児に関する相談
  • 母乳育児の他一般的な相談等
鈴木助産院

当母乳相談室の特長

豊かな経験とスキル 38年間、1万人以上延べ10万件以上の母乳育児指導・トラブルのケアー実績

当院では38年間で母乳育児に関する悩みを抱えているママ、約一万人以上(実人員)延べ約10万件に専門的サポートを行ってまいりました。「母乳が足りているか心配」「母乳をもっと出したい!」「赤ちゃんが直接乳頭に吸えない!」「乳首が痛くて授乳が辛い」等々の悩みを抱えたママに、授乳指導やケアーに力を注いでいます。哺乳ビンに慣れてしまった赤ちゃんは上手にママのおっぱいを吸うことができず、授乳のたびにおっぱいや乳首が痛くて我慢できずどうしてよいかわからず来院されるママもいます。ケアー後はうれしいことにママたちから「ゴットハンズ」と評されるほど。「もっと早く来所すればよかった」と一様におっしゃいます。豊かな経験を活かし、お一人ずつ異なるおっぱいの状態をアセスメントしてケアーを提供できるよう努めております。

スタッフは複数体制

助産師は複数で対応。授乳の基本は抱き方とくわえ方。この二つさえきちんとできれば直接ママのおっぱいを上手に吸えます。乳頭亀裂、嚙み傷、白斑等の様々なトラブルを解決できます。ただママが一人で解決するのが難しい場合、助産師の専門的サポートが必要になります。トラブルの多くの原因は乳頭の浅飲みです。そのために当院では抱き方とくわえさせ方がきちんとできるよう授乳指導に力を注ぎ、時間をかけ、できるまで根気よくサポートしています。専属スタッフとして豊かな経験を有するエキスパートの助産師がマンツーマンで指導しています。その他に乳房ケアー担当の助産師がいますので、お母さんたちに安心して質の高いケアーサービスを提供しています。

いつでも 予約なしでもお受けできます

予約制ではないので当日でも時間内でしたらご相談は可能です。初めてのご相談の場合はお見えになる前にお電話で連絡をお願いします。
<持参するもの> 母子手帳(なくても大丈夫です)フェイスタオル3枚(白色 薄くて新しくないほうが良いです)赤ちゃんのバスタオルまたはおくるみ。混合栄養の場合は人工乳と哺乳瓶。おむつは5枚程度 お洋服は1セット。ただしデイケアの場合は多めにお願いします。授乳指導が必要な場合、授乳時間に合わせお腹を空かせてご来院ください。午後や時間外は予約制。(予約料金が加算となります)乳腺炎等必要により臨時応急として時間外にも対応できます。

アフターフォローを無料で受けられます

当相談室でケアーを受けたママは、トラブルが解決しケアーがいったん終了した後でもママからの疑問や質問等電話やメールで無料にて相談に応じさせていただいています。

母乳育児成功へのコツ 基本編

ママの母乳育児へのしっかりとした意識

あなたは「是非母乳派?」それとも「できれば母乳派?」「出れば母乳派?」いかがでしようか。産後1か月間は授乳のリズムが整いません。十分に足りていても一晩中泣き通しだったり、逆に寝てばかりいて飲もうとしなかったりと授乳リズムが整うまでに、かなりのストレス状態となります。たかが一か月間、されど一か月間。ヘロヘロになって目の周りにクマができ、心おれそうになることもたびたび。いっそのこと人工乳のほうがチョー楽!のノリで気づいてみたらいつのまにか人工栄養児。それから母乳育児を望んでも遅いのです。そうした状況を乗り越え支えとなるのは「是非母乳で」というママのしっかりとした意識です。
当助産院で出産を希望された方は自然志向派。当然のように母乳育児を望みかなり意識が高い方がほとんどでした。母乳は一般的には産後3日以降に出始めます。退院時に必要量(40~50ml)出ている方は約半数。特に初産婦さんは退院時母乳の哺乳量が一ケタ数の方も結構いました。その場合、退院を2~3日延期すると必要量出てくるのです。皆さんそれを待ってから退院しました。必要量出てくるのに10日間以上かかるのです。
多くのママは「できれば母乳派」です。自然に母乳が出て、何のトラブルもない場合は母乳育児をと考えているママたちです。出産にエネルギーを使い果たしたママは赤ちゃんの泣き声に振り回されることなく、ゆったりとした入院生活を望みます。人工乳をいつでも与えられる環境を望んでいるママも少なくありません。某産婦人科クリニックの医師から伺った話ですが、母乳育児を推進しようと人工乳をできるだけ与えないようにしたそうです。その結果「僕は負けてしまったよ!」とママたちから不満を持たれてしまったと嘆いておられました。某育児雑誌の調査結果でも入院中は「人工乳を飲ませたい」ママが最も多かったとのこと。入院中安易に人工乳に頼ると母乳育児のスタートの妨げになるという事をご存じないのでしょうか。
母乳育児のスタートはママの母乳育児への確かな意識からです。妊娠中から知識を得て心づもりしておくことが大切です。

出産施設の専門的サポート体制

母乳で育てられるかどうかは出産入院中がカギ。まず出産入院中は母乳育児希望であることを産院に伝えることも大切です。ママの意思を尊重してサポートしていただけるかもしれません。
 出産後はできるだけ早く授乳を開始しましょう。赤ちゃんが乳頭を吸うと、母乳をつくるプロラクチンというホルモンがより生産されます。出産後の授乳開始が遅れたり、夜新生児室で預かっていただいては授乳回数が少なくなり母乳がなかなか出てきません。産院施設ではお産で疲れているママを気遣い「おっぱいが張ってきたら吸わせて」「出るようになったら吸わせて」「夜大変だからおあずかりしますね」とよく言われるようです。積極的に授乳しない結果、ほとんど人工乳で退院を迎えることになってしまうことに。もちろん、難産だったり体調が悪い場合は無理しないで赤ちゃんを預かっていただくよう願いしてもよいと思います。
当助産院ではミルクを配備していませんでした。生下時体重が少ない等の特別の事情がない限り安易にミルクに頼りませんでした。そのかわり昼夜を問わず授乳のたびにマンツーマンでしっかりサポート。一人一人母乳で退院を迎えるにはスタッフの相当なエネルギーを要します。単におっぱいのケアーだけでなくなかなか出てこないおっぱいに不安を感じ、イライラしたり心おれそうになっているママの心理面でのサポートも必要だからです。産院では、お産後赤ちゃんがママのお部屋にきた時に人工乳の缶とお湯の入ったポットと哺乳瓶がセットで渡されることが良くあります。そして日ごとに人工乳の足す量が増えてきます。こうしたことではママのおっぱいはなかなか出てきません。気づいてみたら退院時にはほぼ人工乳になってしまいます。入院中、母乳育児の指導に力を注いでくださるスタッフが得られるかどうかは母乳育児成功のポイントです。ママは一人で頑張らなくてもいいのです。母乳指導の積極的な出産施設を選ぶことも大切だと思います。ところで、退院時のあなたはお土産ミルクに対し「ミルクいらない派」それとも「ミルクほしい派」どちらでしょうか?母乳が十分に出ていても良く泣く赤ちゃんもいます。母乳が足りていないのかな・・・と不安になりお土産の人工乳を飲ませると泣き止みます。ついついお土産人工乳に手が出てしまうのです。それがきっかけで人工乳がどんどん増えてしまう、よくあるパターンです。

WHO・ユニセフの「母乳育児成功のための10か条」について

ママが一人で頑張らなくてよいのです!
1989年、WHO・ユニセフから母乳育児の推奨に向け「保護・促進・そして支援」の共同声明「母乳育児成功のための10か条」(2018年改訂)が産科医療や新生児ケアにかかわるすべての施設に向け出されています。そこには妊娠中から入院中の過ごし方やスタッフのサポートの重要性が示されています。まずかかわるすべての保健医療スタッフに、母乳育児についての基本方針を周知し、実践するために必要な技術を訓練することとされています。妊娠中から母乳の利点や方法について情報提供するように示されています。つまりママが一人で頑張るのでなく、医療スタッフや周りのサポートの重要性が課せられています。具体的には母乳育児について知らせ、入院中の過ごし方として、生まれたらできるだけ早く(30分以内)ママのおっぱいを飲ませる。医学的に必要でない限り母乳以外の栄養や水分や糖水等は与えない。哺乳瓶等ママの乳首以外は使用しないようにする。24時間母児同室で欲しがる時に欲しがるだけの授乳ができ、いつでも飲ませられるように環境を整える。スタッフも授乳指導を行えるよう知識や技術を備える。継続したサポートのシステムを整える。必要により当院のような母乳育児相談室の情報提供にも触れられています。これだけの内容を実践するには医療施設の相当な理念、技術と基本的姿勢が問われます。そうした医療施設が果たしてあるのかしらと思われるかもしれません。実際はあるのです。10か条を遵守し実践している医療施設を「赤ちゃんにやさしい病院」BFHとして認定しています。全国でも2021.10月時点で66施設。決して多くありませんが、調べてもし通院が可能でしたらそちらでお産を検討されるのもよいと思います。
ユニセフ・WHOの10か条の共同声明は長年当院がすすめてきた実践そのものでした。歩んできた足跡を振り返り、改めて母と子の幸せのためのお手伝いを確信できました。

母乳育児相談室の上手な活用

赤ちゃんを産めばおっぱいは自然に出てきて上手に飲んでくれると思っていた。日増しに増えていく人工乳に不安を抱えながらも、母乳はそのうちに出てくるだろうと思っていた(周囲からもそういわれていた)。どうやらそうでないことに気づいたときは時すでに遅しで、ミルクランド(人工乳のみで必要量を充足している)に到着しているママの多いこと。
たいへん残念ですが当相談室に来院されるママの約半数以上の方は母乳育児を半ばあきらめなければならない状態でたどり着いているのが実情です。大半を人工乳に頼っていてはママのおっぱいの生産・分泌機能が損なわれてしまいます。そうした場合でもママが完全人工栄養児になるのを避けたい場合は、微力ながらサポートさせていただいております。でも赤ちゃんは私たちが想像している以上に賢いです。出の悪いおっぱいを授乳拒否し始めるとさはサポートの限界を感じることがあります。母乳は水道の蛇口のようにひねればいつでも出るといった程度の誤った認識をお持ちのママもいます。そして一様に母乳が出なかったと嘆きます。本当に出なかったのでしょうか?私の経験では出なかったのではなく出し方がうまくいかなかったのではないかと思っています。
それを裏付けることがあります。私の助産院では出産を扱っていました。(現在休止中です)千人以上の赤ちゃんが生まれましたが、ほぼ全員に近い赤ちゃんが完全母乳で退院しその後も母乳で育っています。助産院には人工乳(ミルク)を配備していませんでした。
確かに100人に3人位のママは乳腺の生産・分泌機能が乏しくそれでもあきらめずに退院後、母乳外来に通院しながら母乳で育てていました。こうしたことから母乳で育てることができるかどうかは出産入院中がカギのようです。直接授乳ができない、乳頭に傷ができて痛い等のトラブルは出産入院中から生じています。母乳不足だけでなく、乳頭トラブルの場合も相談室での専門的サポートは早ければ早いほど効果が期待でき、母乳育児のチャンスはまだ十分に残されています。私は幾度となくおっぱいは化けるという驚くべき経験をしています。ほぼ大半が人工乳になってしまった場合、母乳育児は望み薄的なことを申しましたが。乳房ケアーをしているときに催乳といっておっぱいが突然湧き出てくる現象があります。乳房ケアー中、乳頭の刺激によりママの脳が赤ちゃんに吸われているような錯覚になりおっぱいが分泌されるのです。たとえ直接授乳量が一桁の場合でもこうした催乳がある場合はケアーを続けていると授乳量が日増しに増え、人工乳の添加が必要なくなったママもいます。おっぱいは活躍の出番を待っていたのかもしれませんね。
国は子育て支援対策として「産後2週間健診」や「産後ケア事業」等身体面や心理面でサポートしています。ようやく医療と行政との連携がなされるようになったのかと感慨深いものがあります。2週間健診ではママの身体的面と心理的面でのチェックができるようになり、悲惨なママが自らいのちを絶つ産後うつ対策にようやく目が向けられるようになりました。しかし母乳育児支援に関してはどの程度取り組んでいるのでしょうか。。赤ちゃんの体重測定のみで終わり、母乳指導を期待していたママは拍子抜け。これが現状のようです。出産してからの2週間が母乳育児には大切な期間です。もし母乳育児に関して不安をお持ちの場合は2週間健診を待たずしてお気軽に専門の母乳育児相談室をご利用なさってみたらいかがでしょうか。
お出かけになれない場合は、お電話でもよいので(無料)ご相談ください。

鈴木助産院

夫や家族の理解と協力

ママだけでなくパパやご家族もなれない育児でついイライラスしてトレスもたまります。10人に一人はなるといわれている産後うつ。ストレスは母乳を生産するホルモンの分泌を抑えてしまいます。以前NHKで牛の搾乳量の実験が報道されていました。私も興味深く拝見させていただきましたが、牧場のゆったりした環境で放牧されている牛を都会に移動させ当時光化学スモッグで汚染された劣悪な環境にさらしました。その結果牛の搾乳量はたちまち減少してしまいました。環境が母乳量に及ぼすという実験でした。さらに実際にママが授乳しているとき難しい計算をさせながら母乳生産のホルモンプロラクチンを測定する実験もしていました。その結果プロラクチンはかなり低下していました。ストレスに晒されると母乳の分泌が悪くなるという事をあらわしていました。いかに精神的にリラックスした授乳環境を整えることが大事だという事です。妊娠中から夫やパートナー等周囲のどなたかにサポートを得られるよう話し合っておきましょう。お父さんの育児休暇が取りやすくなりましたが、まだまだ浸透するのに時間がかかりそうです。「産後ケア事業」の欄を参考にしてください。動画「パパ出番ですよ」もご覧いただけたらと思います。

ママ自身の母乳不足対策等

 ママ自身どのようなことを備えたらよいのかQ&Aを参考になさってください。

母乳育児成功に向けて 実践編

まず赤ちゃんとのお付き合いの方法をみつけましょう。赤ちゃんは、産声が一人一人みな違うように生まれながらにして育てやすい子、そうでない子、のんびりやさん等みなタイプが異なります。
おっぱいが張ってきて辛いのに飲んでくれない・・・。寝てばかりいておっぱいを飲もうとしない・・。飲んでも飲んでも泣き止まらない・等々。こんなはずではなったと子育てのスタートでつまずいてしまうママも少なくありません。でも心配しなくても大丈夫です。
“世界でたった一つの宝物!”は限りなく情報発信のエキスパート。泣くことで精いっぱい自己表現し“大いに新米ママ、パパを慌てさせます。まず落ち着いてご自分の赤ちゃんがどのタイプなのか見極めることです。日によってころころ変わる赤ちゃんもいますが。だんだん個性もわかるようになるころには、どんなことがあっても愛おしい“私の子”って思えるようになります。
出産後のママの最も多い悩みは母乳育児に関することです。ここではどうしたら母乳育児ができるのか説明します。私の母乳相談室に見える母乳に関してのママのもっとも多い相談は母乳不足や授乳のたびの乳頭痛、ママの乳頭を直接くわえることができないことです。ママも努力しているものの、なかなか自力で解決できない事もあります。

授乳回数と授乳時間

授乳方法には二つのパターンあります。欲しいときに欲しいだけ与える自立授乳方法と時間を決めて行う時間授乳です。どちらが良いのかはやはりケースバイケースです。新生児のうちは一回に飲む量が少なく、人工乳を与えない場合は必然的に頻回授乳になります。母乳を出すには自立授乳が良いとされていますが、ここで留意しなければならないことがあります。頻回授乳はママがいつも授乳をし続けることにより休む暇もなく疲れてしまうという事です。一日12~15回では寝る暇もないくらい大変です。さらに乳頭が頻回に吸われるのできちんと咥えていないと浅飲みやゆがみのみになり傷ができ授乳が苦痛になってしまいます。逆に寝てばかりいて、欲しがらず体重が増えない赤ちゃんもいますので自立授乳の落とし穴になり要注意です。授乳リズムを整え一回の飲む量が増えるとゆとりを持てる授乳タイムになります。一回の授乳量をしっかりと飲ませるにはコツがあるのです。それさえできれば授乳回数も頻回ではなくなります。一方時間を決めて行う規則授乳の場合は、一日8回を目標に3時間おきに授乳します。授乳のリズムを整える点で有効です。その場合几帳面に時間設定するのでなく前後30分遅くなったり早くなったり幅を持たせるように伝えています。母乳不足の場合は、まず本当に母乳不足なのかそうでないのかを判断する必要があります。約半数のママは赤ちゃんの泣きにより母乳不足と考えている見せかけの母乳不足です。まずは授乳リズムを整え、きちんと授乳できるようにすることから始めます。
授乳時間ですが、一回の授乳は必ず両側飲ませるようにします。入院中は生後3日までは左右数分ずつ。それ以降は左右5分ずつ程度です。入院中は乳管がまだ十分に開通していないので、長い時間吸わせないようにした方が良いです。退院後はさらに長く吸わせ、左右7分7分おかわりは左右5分5分計約25分位です。やはりおっぱいの状態や赤ちゃんの哺乳力等で授乳時間も変わってきます。授乳していると奥からじわっと湧いてくる催乳感覚を生かして授乳時間をするように指導されることがありますが、催乳感覚は比較的に短時間で終わり赤ちゃんが満足しない場合もあります。もっとママと触れ合っていたい赤ちゃんもいますので、授乳の様子を見ながら決めていってもよいと思います。ママの直接母乳量を測定すると最後の10分が全体量の約5分の1量です。体重の増加が気になる場合はおかわりをして最後の10分を飲ませたいですね。

直接ママの乳頭を吸える3つの条件

一番の悩みは直接ママの乳頭をくわえられないことです。「乳頭を柔らかくして深くくわえる」ことで解決できますが、多くのママは「頭で理解しても、どうしたら深くくわえさせられるのかわからない」とおっしゃいます。
1つは乳頭の突出状態と大きさ・形 
2つは乳輪から乳頭にかけて柔軟性
3つは乳輪から乳頭にかけて進展性
乳頭が突出していなくても2・3の柔軟性と進展性があれば直接授乳ができますが、逆に1の突出が十分あるのに2・3の柔軟性・進展性が乏しい場合は直接授乳困難等のトラブルの原因になります。妊娠中から1~3をチェックして手入れをしておきましょう。

乳房トラブルを起こしやすい乳頭

扁平や陥没の場合等授乳困難が起こりやすくママは悩みを抱えてしまいますが、乳頭の形が悪く直接授乳が難しいからと母乳育児をあきらめないでください。吸われると乳頭は出てくるからです。

小乳頭

巨大乳頭

扁平乳頭

陥没乳頭

乳頭は通常は約1㎝、ママの小指の第一関節の半分以上突出していれば授乳ができます。ただ突出だけでなく大きさも左右されます。直径5mm以下の小乳頭はくわえにくいようです。また逆に直径が30㎜以上の場合、特に不正形でひょうたんのように上下に分かれている場合は部分のみをしやすく、トラブルの原因になります。乳頭が短い扁平乳頭も直接授乳が難しいですが、乳頭から乳輪にかけて柔らかく伸びが良い場合は何とかなります。乳頭が見た目で出ていない陥没乳頭は乳輪の中に乳頭が埋もれています。指の刺激でポコンと出てくる仮性陥没と乳頭矯正器等の器具による刺激でやっと出てくる中程度の陥没と刺激で全く出てこない真性陥没の3レベルがあります。原因は、母乳をつくる乳腺組織と、つくられた母乳が通る乳管の発達のアンバランスさにあると言われています。また、線維状の索状物が短縮して乳頭を下方へ引っ張ることでも起こります。乳頭が短い扁平乳頭も同様です。
赤ちゃんには乳輪まで乳頭のつもりで深くくわえられるようにします。また扁平や陥没の場合は傷ができやすく、トラブルの原因になりますので妊娠中から手入れをしておきましょう。(手入れの方法はQ&Aを参照)乳腺炎や傷が深くならないうちに専門の母乳相談室で「痛くなく飲ませられる」授乳指導をしていただけると良いと思います。

正しいポジショニング 抱っこの仕方と吸わせ方

トラブル無く上手に吸わせるには先ず抱っこの仕方が基本です。赤ちゃんの体をママの体にしっかりと引き寄せ乳首を深くくわえさせることがコツです。正しくくわえさせるにはまず姿勢を整えることからです。赤ちゃんの胸と下あごがママの体にぴったりとくっついていることがポイントです。その時に赤ちゃんの頭と体がねじれないで一直線になっていること。次に赤ちゃんの鼻と乳首は同じ高さになるようにします。
抱っこの仕方には横抱き・縦抱き・逆抱き(フットボール抱き)・リクライニング等々いろいろなポジションがあります。

横抱き
縦抱き
フットボール抱き
リクライニング抱き

横抱きが一般的です。赤ちゃんの頭の支えは、支えるママの手首に負担がかからないようにします。ママの手を授乳クッションの上に置きますので楽に授乳できます。縦抱きはママの太ももに赤ちゃんをまたがせて座らせるように授乳する方法です。より深く吸わせられます。その際赤ちゃんの後頭部を支えるママの手は親指と人差し指は英語のY形にします。Yの下の部分は赤ちゃんの背中に沿って支えます。それにより赤ちゃんとママの密着姿勢が保たれます。その際ママの片足を立ててママの手首をサポートしたり高さを調整するためにクッションを利用すると手の負担も軽減されます。直接授乳が難しい扁平乳頭や陥没乳頭には有効です。また生後間もないころや乳房が小さな場合にも適していると思います。さらに空気を多く飲みながら飲んでいたり、よく吐く場合には、途中で排気しやすいので効果的です。次にフットボール抱きですがクッションなどで高さを調整して、フットボールのように脇に抱えて授乳する方法です。ママのわき腹と赤ちゃんのお腹を密着させます。時には赤ちゃんのおへそがクッションの上で天井に向かうポジションも有りです。その場合、赤ちゃんの頭と体がねじれないように気をつけましょう。乳房がたらちね型(釣鐘状)の大きい場合にも良いと思います。外側のしこりがある場合や乳腺炎の予防にも効果的です。その他にリクライニング姿勢もママが楽だと好評です。ママの腰の負担も少なく腰痛予防やリラックス効果があります。最初からリクライニングするのは難しく、縦抱きから数分後授乳が有効になってからリクライニングするとよいと思います。
どのポジションでも共通の大事なことがあります。授乳中赤ちゃんを支えていない側の手の動きです。特に吸いつかせる瞬間が出番です。片方が赤ちゃんの頭を反対の手は乳房を支えます。くわえさせる瞬間は両方の手が絶妙に動きます。さらに吸いついたら吸っている間は乳房を離さずに支え続けます。乳房の重さで赤ちゃんの口で支えきれず、だんだん離れてしまうこともあるからです。さらに親指を乳房の上に4本は下にCの形で支えます。ただし親指を乳輪の近くにおき強くおさえては乳頭の線維状の索状物を引っ張り乳頭をへこませてしまいますので、そっと置く程度にしましょう。また赤ちゃんはお休みしながら吸っていますが、哺乳力が優しかったり、眠りがちのときは乳房を支えている手で軽く横に動かしながら刺激を与え授乳を促します。授乳にはママの両方の手が必要なのです。
いろいろの述べましたが、乳房トラブルを避けるためにもいろいろなポジションを試みながらママにあった姿勢や方法を工夫したらいかがでしょうか。

正しいくわえさせ方

赤ちゃんのほほが左右対称に乳房に触れ深くくわえている

それではさっそく吸わせましょう。コツは大きな口を開けた時がチャンスです。私はバスケットボールに例え、乳頭がボール。赤ちゃんのお口です。それ!シュート!といったノリで赤ちゃんの舌に乗るように放物線を描くように奥深く入れます。きちんと吸っているかどうかのポイントは、下あごの中に乳輪がしっかり入っていること。下唇の巻き込みが無く外側に向き、大きく口があいてアヒルのように開いていること。さらに赤ちゃんのほほが左右均等に乳房にしっかりとついていること。乳首だけでなく、乳輪までもしっかりとくわえていることです。「深くくわえさせる」と頭ではわかっていてもどうしたらよいか要領を得られず困っているママも多いようです。まず赤ちゃんを近くに寄せて、乳頭の高さ、角度、タイミングを合わせて吸わせます。乳房ラインと赤ちゃんの顔面ラインがちょうど90度。下あごが出て鼻も呼吸できる姿勢です。さらに赤ちゃんの顔面は限りなくママのおっぱいにしっかりとフイっトさせます。お鼻から息をして飲みますのでお鼻をふさがないようにしましょう。相談に訪れたママたちは例外なく「こんな風に抱っこして飲ませるのですね 初めて知りました。」と驚きます。乳房の形に合わせて、高さもクッション等で調整します。飲み終えたときに注意することは乳頭の形です。良く飲んでいたように思っても乳頭がつぶれて形が三角形になったり、部分のみをした場合、授乳中に乳頭痛があり傷ができます。おっぱいにしこりがあり、授乳が終わってもしこりが取れない場合も上手に飲めていません。飲み残されています。サクランボのように丸く出てきた場合はGoodです。上手に飲めています。赤ちゃんは哺乳瓶のゴムとママの乳首の形や感触の異なりを察知する能力を有しています。母乳を飲むときと哺乳瓶のゴムの乳首とでは赤ちゃんの舌と下あごの動きが異なります。哺乳瓶のゴムの乳首は主につぶすだけでミルクがどんどん出てきますが、母乳は赤ちゃんが乳輪まで深くくわえママの乳首を舌で引っ張る動作が必要です。そして舌圧が加わりお口の中で陰圧状態にして飲むのです。下あごの動きはダイナミックです。赤ちゃんのこめかみまで振動させて飲むのです。歯科の先生から下あごの発達から母乳か人工乳かわかると伺ったことがあります。
吸えない場合は一日8回程度手で搾乳をしておきましょう。搾乳量が生後1か月以内で毎回(3時間おき)50~60ml位搾乳できるようでしたら母乳育児の可能性があると思います。出産で入院中、直接吸えない場合はとにかく乳房に刺激を与え手で搾乳をしておきましょう。赤ちゃんが小児科で治療中等一緒にいない場合も同じように搾乳しておきます。搾乳器 は乳管の開通がまだ十分でない場合はあまりおすすめしていません。
最近、産院入院中、乳頭保護器(キヤップ)の使用を勧められるママが多いように思います。乳頭保護器を使っていてもママの乳頭が伸びてきて、自然に保護器をはずして直接授乳できるようになる場合もあると思いますが、退院後もキャップ授乳しているとトラブルを起こし相談室に来院するママが多いのでおすすめしていません。一時的に使用するのは仕方ないと思いますが、長く使用するものではありません。赤ちゃんによっては乳頭混乱を起こし本物のママのおっぱいを受けつけなくなってしまう場合もあります。当相談室では初回来所時からできるだけ直接授乳に切り替えますのでキャップは卒業するケースが多いです。

いろいろと述べましたがこれはあくまでもベーシックな一般論です。どのママや赤ちゃんにも当てはまるわけではありません。お洋服に例えるなら既製服でなくあなただけに合った完全オーダーメイドの注文服と同じ。乳房・乳頭の形、赤ちゃんの状態等一人一人異なるのです。
実際にお会いしてママと赤ちゃんの体調、乳房の状態等をアセスメントし、どのようなサポートが必要なのかご一緒に考えていきたいと思っています。是非お気軽にお出かけになりませんか。
しかしながら新型コロナ感染症の終息の見通しが立たない今日。相談室に出かけられないママもいます。そんなママにオンラインで個別指導できるよう検討中です。しばらくお待ちください。

乳房トラブルのケース

A子さんのケース 乳頭からゴツゴツジョリジョリの粒が100個以上

乳管閉塞で乳房にしこり

産後19日目に初めて来院。この画像は乳頭から一回で出てきたものです。左のおっぱいが出産退院後鏡餅のようにがちがちに・・・。20㎝くらいの石を埋め込んだような硬さでおっぱいが変形。乳首もひきつれて中に埋もれ赤ちゃんは授乳拒否。毎回乳房ケアーのたびに粒粒の塊のようなものが乳頭から出てきた。乾燥するとざらざらしている軽石のような粒。一回のケアーで100個以上も。カッテージチーズのような粒々。ゴツゴツジョリジョリ。時には下着の繊維だったり、それが核になってまゆ状のつぶつぶが。ケアーを続けて赤ちゃんが吸えるようになり改善。入院中赤ちゃんが2500gと小さく生まれ、出産入院中哺乳力が弱くあまり吸えなかったことが原因のようでした。

B子さんのケース

乳首の傷がひどくて頭のてっぺんから足の先まで歯を食い食いしばっていた授乳

産後21日目に初めて来院。左乳頭の乳首が約三分の一バックリと深くえぐれていました。乳頭の傷は出産入院中、出産後5日目からでき始めたそうです。出産施設では「深く深く乳輪までくわえさせて」と言われたそうですが、どうしたら深くくわえさせられるのかわからなかったそうです。吸い付くたびに頭のてっぺんから足の先まで激痛が走り、足に力を入れて、歯を食いしばって授乳。退院後辛いので搾乳器で絞っていたら乳腺炎になってしまったそうです。熱38度。
初めて来所時は授乳介助により今まで恐怖感だった痛みはほとんど感じなかったとのこと。深くくわえさせるコツを何回も繰り返しできるまでサポート。ご自宅に帰るころにはズキッとした頭の重さが消えて、心が軽くなったと喜びを語ってくださいました。

C子さんのケース ひどい乳頭の傷で繰り返した乳腺炎

3人目にしてトラブル多発!!!

産後15日目に初めて来院。当助産院でケアーを受けるために、急遽神奈川から群馬に里帰りしました。第一子の時もトラブルでお手助けしました。その時は乳頭のつけ根がぱっくり切れて、授乳すると頭の先から足の先まで激痛が走りました。激痛に耐えながらの授乳でしたが、「痛くない!!」授乳介助により、傷も治り完全母乳になりました。
今回はよく見られる乳頭の亀裂と異なり、ひどい嚙み傷でした。
扁平だった為に入院中から吸われて、出てきた乳頭はザクロのようにえぐれて赤むくれ、授乳の度に激痛。退院後も乳頭の傷は広がり治る気配なく、毎回歯を食いしばって格闘しながら授乳していたそうです。夜中寝られない事よりも傷が痛むことの方が辛く、心身ともにボロボロ。さらに退院後すぐに発熱。3回乳腺炎になり産後うつの扉に手をかけそうで大変な状況だったそうです。どれほどつらかったことかと思うと「よく頑張ったね。大丈夫。治せるから」の言葉に号泣していました。傷はひどく自力で治るレベルを超えていました。状態を診ながらその都度方針を決め、様々な手立てで回復をうながしました。直接授乳を制限し傷の様子を見ながら慎重にケアーをしていきました。
ケアーを始めてから2週間、7回のケアーで傷は殆ど無くなり授乳の痛み、乳腺炎の恐怖からも解放されて自宅(神奈川県)に帰っていきました。
その後メールをいただき完全母乳になったと喜びの報告をいただきました。

Q&Aコーナー
母乳育児を望んでいます。どんなことを心がけたらよいでしょうか
まず妊娠中から乳房・乳頭の状態をみてみましょう。妊娠中の乳頭の手入れは、安定期に入ってから、必ず医師や助産師の指導を受けてから始めます。おなかが張るときは止めます。まずは、乳頭を清潔にします。乳頭の先に茶色や白いカスのようなものがついていたら、オリーブ油などでふやかしてから取り除きます。皮膚の柔らかくなっている入浴後が効果的ですが、もしおなかが張るときは中止しましょう。扁平や陥没乳頭の人はオリーブオイル等でやさしくマッサージをしましょう。乳頭の形が悪かったり心配でしたら、出産施設や専門の母乳育児相談室にご相談ください。手入れの方法を指導していただきましょう。
出産後は、こんなはずではなかったのにの連続です。おっぱいは出てこないし、授乳がうまくできない・・・。睡眠不足になったり疲れていると母乳は思うように出てきません。だからといって夜間授乳はパスといったことはダメです。一日最低でも8回は授乳しましょう。赤ちゃんが夜、別室では授乳回数が少なくなりますので、できれば夜も授乳できる環境を整えます。赤ちゃんが寝ているときはできるだけ一緒に休むようにして授乳はしっかりと行ってくださいね。母乳に良い食事は水分が多く体を温める献立がよいと思います。すいとんや具たくさんの煮こみうどん、みそ汁、サツマイモ等です。和食中心の献立がよいと思います。夏は冷房で体を冷やさないようにしましょう。飲みものも冷たい飲み物は避けてくださいね。母乳は血液からつくられますので、貧血や栄養にも留意しましょう。栄養のバランスの取れた献立にし、出産で出血多量だった場合貧血改善にも心がけてください。体を温める等血液循環を良くするための工夫も行ってみたらいかかでしょうか。ストレスも要注意です。赤ちゃんの泣く声がラブコールに聞こえるよう、泣きは肺呼吸して大きく成長しようとしているプレジャーサインとして受け止めてみてはいかがでしょうか。赤ちゃんが小児科に入院したり別々になっている場合は3時間ごとに母乳を絞っておいてください。
またコーヒーやアルコール類にも要注意です。アルコールは乳汁に移行します。ただ乳汁のアルコール濃度は飲酒後2時間ピークに減少します。飲酒後2時間以上たってから授乳してください。コーヒーの成分カフェインは授乳中一日200~300mg超えないことが望ましいとされています。一日200mlのカップで1~2杯が目安です。摂り過ぎると赤ちゃんに不眠や興奮などの影響をもたらす可能性があります。紅茶や緑茶にも含まれているので要注意です。タンポポコーヒーやノンカフェインコーヒーを活用するようにしてください。
母乳で育てているがおっぱいが足りているかどうか心配
人工乳と違ってどの位飲んでいるのはわからないので不安なのですね。一番の指標は体重増加です。退院時からどのくらい増えているかどうかです。一日当たり25~30g増えていれば大丈夫です。生後一か月で約1㎏増えないとミルクを足すように言われるようですが、生まれた体重にもどったのが10日目だとすれば1か月検診までに20日間です。それから一日30g増えた場合。一か月検診では600g増になります。3㎏で生れた場合は3,600gになり十分な体重増加です。もし人工乳を足すように言われたら、ご相談ください。ママが不安になりミルクをたくさん飲ませた結果、人工栄養児になってしましまうママが多いようです。もう一つの指標はあ赤ちゃんのうんちとおしっこの回数です。一日のおしっこの回数が5回以上、うんちは1回以上でていれば心配しなくても大丈夫です。
お産してまもなく赤ちゃんが小児科に入院してしまいました。母乳はどうしたらよいでしょうか
母乳は直接吸わせることにより生産・分泌するホルモンが出てきます。赤ちゃんが治療でママから離れてしまった場合、直接吸わせることができません。そうしたときは一日最低でも8回以上搾ってください。直接授乳ほどではないですが刺激を与えていないと出なくなってしまいます。手で絞って(刺激)ください。出産後数日(入院中)は乳管の開通が不十分なので機械的刺激は乳頭を痛めることがあります。手のほうが力の加減がしやすいので手絞りをおすすめします。方法はまず手を良く洗って、乳房も拭き清潔にします。左右それぞれ各5分位を交互に2往復を目安にします。搾乳量が少量でも刺激を与えることが大切です。消毒した哺乳瓶にとり母乳バッグに保存できるといいですね。初乳は赤ちゃんにとって最高のプレゼントですから捨ててはもったいないです。初乳の免疫力は成乳の数倍にも値するともいわれています。免疫グロブリンが赤ちゃんを病気から守ってくれます。最初はなかなか上手に搾れませんが1滴1滴からスタートです。回数を重ねていくうちに出るようになります。搾乳方法は、まず乳房全体をブルンブルンと動かし、次に乳頭です。周囲の乳輪の部分を親指と人さし指を合わせ、方向は背中に圧をかけるように「幸せは歩いてこないだから歩いていくんだよ一一日一歩三日で三歩・・・」と歌を歌いながらリズミカルに刺激するのがコツ。出産施設の助産師に教えていただいてください。出ないから・・・搾れないから・・・張ってこないから・・・とのんびり構えていては赤ちゃんが手元に戻ってきた時には母乳の生産工場は倒産してしまいますので要注意です。赤ちゃんが来たら直接授乳を開始してください。ママが赤ちゃんよりも早く退院したときは搾乳した母乳を冷凍し母乳バックに入れ赤ちゃんに届けましょう。余力のある方は母乳バンクに登録して小さく生まれた赤ちゃんの生命を救うためにボランティアをしてはいかがでしょうか。以前、元旦の新聞一ページ全面に運送会社のコマーシャルが掲載。なんと商品は赤ちゃんの入院している医療機関に運ぶ冷凍母乳でした。感動しました。母乳はママからのビタミン愛なのです。
赤ちゃんがギャン泣きで困っている
赤ちゃんは生後1~2か月に泣きのピークがあるようです。(厚生省の資料)ギャン泣きを「コリック」とか夕方に泣くことから「黄昏(たそがて)泣き」とも言われています。特に夜中に決まって泣く赤ちゃんもいてママだけでなく家族中がパニックることもあります。はっきりした原因が無く、泣き続けている状態は、消化管の不調が疑われています。「腸内ガスの貯留・腸の未発達・腸の痙攣・アレルギー等が考えられるそうです。当相談室にも赤ちゃんの泣きについて時折相談を受けます。産後ケアーで赤ちゃんをあずかり様子を見ていると、ずっと泣き続ける赤ちゃんがいます。特に授乳後に多いように思います。そうしたときは根気よく、時間をかけて縦抱きに抱っこしてげっぷを促します。片方ずつの授乳でげっぷを出させます。げっぷや大きなおならやうんちをすると泣き止まることが多いようです。1~2か月たつと不思議と落ちつきます。
授乳時の舌打ち音(チュッチュ)がある場合はおっぱいと一緒に空気もたくさん吸い込み胃腸にガスがたまり授乳後苦しくて泣きます。その割にあまり飲んでいません。その時絶対してはいけないこと。それはイライラして無理に泣き止ませようとして赤ちゃんを「揺さぶる」ことです。赤ちゃんの脳はもろく「乳児ゆさぶられ症候群」になり脳がダメージを負い重大な後遺症が残る場合もあります。立派な乳児虐待です。
赤ちゃんの口の中に乳かすのような白いぶつぶつができている。

鵞口瘡

おむつかぶれ

授乳時の乳頭痛は乳頭を浅くくわえさせていることが原因で、抱き方(ポジショニング)や吸わせ方をサポートするだけで解決できることが多いのですが、その他に留意してほしいことがあります。ママが授乳時乳頭が痛いと訴えているときは、まず飲み方(くわえ方)をみます。次に乳頭をみます。傷が無いか白斑がないかどうかです。次に、赤ちゃんのお口の中を見ます。白い乳かすのようなぶつぶつが頬っぺたの内側にないかどうかです。これは乳かすではなく鵞口瘡というカビの一種です。乳かすでしたら綿棒で簡単にぬぐえます。常在菌といって口の中にはいますので心配はいりません。生まれるときにママの産道から感染したり、抗生物質を長期間使用したり、かぜ等で免疫が低下しているときに出てきます。でも授乳により乳頭に感染すると、乳頭の傷そのものは浅いですが、たくさんできますので、我慢できないほどの痛みを伴います。さらに赤ちゃんのお尻にも着目します。おむつかぶれができるのです。治療は医療機関でカンジダ菌に効く軟膏やシロップを処方していただき赤ちゃんの口腔内、ママの乳首にも塗布します。もちろん赤ちゃんのおしりもです。治るには1週間くらいかかりますが、乳頭の痛みは数日でなくなります。普通のおむつかぶれだと思い市販薬(ステロイド軟こう)を使用するとなかなか治らずひどくなってしまいます。感染症なので乳頭は清潔にし、哺乳瓶やおもちゃの消毒にも気をつけましょう

赤ちゃんの舌の裏側にヒダがある。

舌小帯短縮

舌小帯短縮です。舌の先から歯茎に伸びているために舌の動きが制限されます。舌の先端が図のようにハ~ト型になります。上手に飲めなかったり、浅飲みで乳頭痛があったり、疲れるためにうとうとしながら飲んだり、授乳の時乳頭を絡められず、舌打ち音がしたり、おっぱいの出が良いのに、十分の量を飲めず体重が増えなかったり、乳房のしこりや乳腺炎を繰り返したりと様々な症状をおこします。重度になると幼児になると発音障害があります。当相談室にも軽度の舌小帯短縮症の赤ちゃんを時折見かけますが、授乳障害を伴う場合は、経過により医療機関をすすめる場合もあります。

コロナにかかってしまいました。母乳をどうしたらよいでしょうか
新型コロナウイルス感染症の終息はまだ見通しが立ちません。母乳育児への影響ですが低下しているとの報告もあります。当相談室にも新型コロナ感染に関する相談が増えてきました。産院では出産後すぐに発症した場合ママのみ退院して赤ちゃんを隔離期間お預かりする場合もあるようです。その間に母乳分泌が低下したり、乳房にしこりができ痛くて我慢できないとか赤ちゃん退院後母乳を吸わせようとしたが、ミルクのゴムの乳首に慣れてしまいママの乳頭に吸いつけない等々のトラブルがおきやすいようです。さらに出産施設で母乳をやめるようにと言われた。どうしたらよいのかという相談もあります。現時点ではWHO等複数の機関がコロナ陽性であっても母乳育児を推奨しています. 産婦人科学会は 母乳を介して新型コロナウイルスが乳児に感染するリスクは低いとの見解も出しています。様々な見解からコロナに感染しても母乳をあたえる方がメリットがあるのでやめないのが基本のようです。詳細は国立成育医療研究センターのサイトをご覧ください。なお当センターでは「妊娠中から授乳期の薬」についても相談に乗っていただいています。かぜ薬を飲んで数日間授乳中止にして母乳が出なくなったという相談もあります。授乳中止は継続した授乳の妨げになることが多く慎重にしていただければと思います。

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